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すかさず伸太郎が叫ぶ。
「鳴滝彦、金剛鈴!!」
金剛鈴とは、密教で使用される鐘の一種で、その響きは破邪退魔の力があるとされる。
りーん
ちりーん
澄んだ音色が周囲を包む。
その刹那、猫又の動きが金縛りにあったように固まった。
『小癪な真似をしおってぇえーっ!
うう、動けぬ!!』
りーん、ちりーん
金剛鈴の響きが鳴り続ける。
「猫又、浄化してあげるから、素直に還るべき所へ還りなよ。
現代(いま)の世の中は、妖にとって決して住み易い世界じゃないと思うよ?」
伸太郎は、憐れみに満ちた表情を浮かべながら言った。
そして馬頭観音の印を結ぶと、静かに真言を称えはじめた。
「おん、あみりとどはんば、うん、はった…。」
三回、七回と真言を称えていくうちに、猫又の様子が明らかに変化してきた。
ぅおおおぅ…
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