二、奇談の一 猫又

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 大日如来の真言が称えられると、猫又は妖と化す前の愛くるしい猫の姿に戻り、安心しきった様子で喉を鳴らしながらすうっと消えていった。 「鳴滝彦、もういいよ。 猫又は涅槃へ還ったよ。 次に生まれてくる時は、普通に寿命を全うして妖にならないコトを祈ろう。」  伸太郎は大日如来の印と張っていた結界を解いた。  鳴滝彦が、ふいに伸太郎に問うた。  『伸太郎さん、もし私が悪しき霊だったら、やっぱり退治されていたの?』
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