二、奇談の一 猫又

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 唐突な鳴滝彦の問い掛けに、伸太郎は少し困ったような顔をして言った。  「そうかも知れないね。鳴滝彦が悪しき霊じゃなくて、本当に良かったよ。 鳴滝彦は、僕の最高のパートナーだからね。」  伸太郎の返事に、鳴滝彦は嬉しそうな、照れたような表情になった。 千年も前に、どのような理由でこの世を去ったのかは分からないが、あどけない笑顔で無邪気に振る舞う鳴滝彦という護法童子に、伸太郎は出会えてよかったと思った。  この世の者と、この世ならざる者にも、やはり相性というものがある。 伸太郎と鳴滝彦は、阿吽の連携で今までやってきたのだった。  『伸太郎さん、そろそろ夜明けですねぇ。』  ふわふわと伸太郎の跡を追いながら、鳴滝彦は呑気に言った。  東の空を見ると、夏の終わりの明け方の空が拡がっていた。 二、奇談の一 猫又 終
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