一、プロロォグ

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 さて、この物語の主人公、猿渡伸太郎はそんな環境の中で生まれ育った高校生で、来年には受験を控えた三年生であるが、普通の高校生とは少し違った生活を送り、かなり違った能力を持っているのであった。  伸太郎は町内のとある団地に住んでいるのだが、母は彼が六歳の時に病気で死別、父は仕事の都合で海外へ単身赴任をしているので、事実上は気ままな一人暮らしを送っているのだった。  高校生で一人暮らしをすると、何かと生活も乱れがちになるのだが、伸太郎は根が真面目なのか、悪い事もせず、ごくごく普通に暮らしている。 外見的には、一見すると当世流行の草食系メガネ男子といった趣の伸太郎なのだが、幼少の頃より霊能力に優れ、ボランティアとして、心霊相談を受けたり、除霊、浄霊、慰霊などを行ったりしている。  除霊というのは、強制的に霊を取り除く事で、再び憑依される恐れがある。 この方法は、せいぜい中等度の霊能者が行えるものである。  次に浄霊。 これは霊を完全に浄化して、霊が本来還るべき所へ送り返すもので、よほど能力が高く、優秀な霊能者でなければ行うことは難しい。  最後に慰霊。 一般的な供養もこの中に入るが、霊を慰めて霊的な悪影響を抑えることである。 この物語は、霊能力者である猿渡伸太郎の周辺で起こった奇異な出来事を綴ったものである。 一、プロロォグ 終
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