三、奇談の二 古墳

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茶を啜っていた宗源は、少し驚いた顔をして言った。  「さすが古墳マニア、耳が早いねぇ。 来週の水曜日から始まるらしいよ。 儂は護摩でも焚いて、埋葬舎の霊を慰める事にするよ。」  水曜と聞いて、伸太郎は少し残念そうな顔をして言った。  「水曜ですかぁ。 学校があるから見学には行けないですね。」  そう言いながら、伸太郎は茶を一口飲んだ。  「君ももう三年だし、毎日登校する必要はないんだろ? うちの孫の宗太な、学校サボって行くって言ってるぞ?」  水木宗太は伸太郎の後輩で、高校二年生である。 伸太郎とは幼い頃からの付き合いなのだが、インドア派の伸太郎とは対照的にアウトドア派であった。  学校でも帰宅部の伸太郎に対して、宗太はサッカー部に属している。  「でも和尚、宗太って古墳に興味ありましたっけ?」  疑問に思った伸太郎の言葉に、宗源は呆れたように言った。  「古墳マニアの君と違って、奴は単なるイベント好きなんだよ。  どうだい、君も来週の水曜は学校休んでしまえばいいじゃないか。  単位や出席日数は足りてるんだろ?」 悪戯っぽい表情を浮かべながら宗源は言った。 呆れた僧侶である。  「和尚、悪い事を勧める出家なんて聞いた事ないですよ?」  苦笑しながら、伸太郎は当日、学校を休む事にした。
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