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盗掘を免れて約千三百年程、外気から遮断されていたおかげで、石室内の壁画はどれも保存が良く、色鮮やかな彩色はどれも美しい物であった。
古墳の外でも、数台のモニターに群がった見学者達が驚きの喚声を上げていた。
「す、凄いっ!
手付かずの古墳だっ!!」
伸太郎は感動のあまり泣き出しそうになっていた。
発掘調査の見学を終えると、伸太郎達は宗太の部屋にいた。
もうだいぶ落ち着いたと思いきや、伸太郎の興奮は全く冷めてはいなかった。
宗太と鳴滝彦を前に、熱く古墳談議を続けていた。
「いや~、さすがに上円下方墳は燃えるねぇ♪
前方後方墳や双方中円墳なんかも珍しくていいよね~。」
伸太郎の熱弁に、宗太と鳴滝彦はすっかり引いてしまっていた。
いつもは物静かな伸太郎なのだが、いざ古墳の話題となると、いつもこんな調子なのだ。
「伸太郎先輩~、古墳の話はもういいですよぉ。」
困り果てた宗太の言葉に、伸太郎は渋々話を引っ込めた。
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