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入れ代わるように鳴滝彦が口を開いた。
『古墳が発掘されたって事は、中の人が起きちゃう、なんて事はないんでしょうかねぇ。』
鳴滝彦の問い掛けに、伸太郎はうーん、と唸った。 「やっぱり起きちゃうんじゃないかなぁ。
あれだけの古墳の中の人ってコトは、相当な身分の人だよなぁ。」
伸太郎の言葉を受けて宗太が言った。
「下手をすると、失礼な事をした、なんて言って祟りがあったりして…。」
三人は、うーん、と唸ったまま沈黙してしまった。
稲荷塚発掘調査の日より数日経って、副葬品が仮収蔵庫へ移動され、残るは埋葬者の棺だけになった事を聞いた伸太郎は、深夜に鳴滝彦と連れ立って古墳へと向かった。
初秋の澄んだ空気の中、満月の明るい光に導かれて、伸太郎と鳴滝彦は古墳の入り口にいた。
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