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跡を追い掛けながら、鳴滝彦が言った。
『大丈夫ですよ伸太郎さん。
その太刀は霊的な物ですから、普通の人には見えませんよ。』
鳴滝彦がそう言うと、伸太郎の歩みが遅くなった。
「あぁ、そっか…。
この太刀をくれたのは、この世の人じゃないんだもんなぁ。
でも、この質感や重量感はリアルだなぁ。」
伸太郎の感想に、鳴滝彦が応える。
『それ程霊力の強い宝剣なんでしょうね。
これほど手の込んだ細工からすると、儀式用だったのかも知れませんね。』
鳴滝彦が言うように、これほど見事な装飾からすれば、実用の武器であるとは考えられない。
しかも霊的物質の太刀である。
「神器ってワケか。
それなら。今後の悪霊退治とかにも使えそうだね。」
伸太郎の言葉に、鳴滝彦が言った。
『これで伸太郎さんも、また”れべる・あっぷ”ですね~。』
「ゲームじゃないんだからさ~。」
冬へと向かう遅い夜明けが近付いていた。
三、奇談の二 古墳 終
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