四、奇談の三 鵺(ぬえ)

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 「おお、伸太郎君! 学校から帰ったばかりだと言うのに済まんなあ。」 伸太郎は宗源の部屋へ通され、茶が出されると、困り果てたような面持ちで、宗源は伸太郎の前に座った。  「和尚、一体どうしたんです?」  憔悴し切った様子の宗源に、伸太郎は唯ならぬものを感じながら問うた。  「鵺がな…。 鵺が出たらしいんだよ。」  宗源は信じられないような名を伸太郎に告げた。  「ぬ、鵺ですって!?」  伸太郎は驚いて声を荒げた。 鵺というのは、平安末期に都の人々を恐怖に陥れた妖である。  頭はサル、体はタヌキ、手足はトラ、尾はヘビ、鳴き声はトラツグミと言い表される妖で、源頼政によって退治されたと言われている。 伸太郎が口を開いた。  「和尚、鵺は源頼政に退治された筈ですよね?それが何故現代に?」  しばしの沈黙の後、宗源は重い口を開いた。  「いや、儂にもわからん… 儂等の与り知らぬ世界で、何かが起こっているのかも知れんなあ。」  通常、浄化されたり退治された妖等が、再びこの世に現れる事はない。 しかし、鵺だけは度々この世に復活しているのである。
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