二、奇談の一 猫又

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 「猫又だってぇ!? これはまた、珍しい妖がでたもんだね。 てか、”らしい”ってのはどういう事だい?」  そうそう現れる事のない妖の中でも、猫又はさらに珍しい部類に入るようだ。  『ね、珍しいでしょ? 私だって、千年も現し世にいて、猫又なんて名前は、そう聞くものじゃないですからね。 あと、情報源はヒ・ミ・ツ、ですよ。 私にゃ私の”ねっとわぁく”ってモンがあるんですからね。』  伸太郎が『猫又』の名前を聞いて興味を示した事に満足した鳴滝彦の言葉に、伸太郎はぷっと吹き出した。  「”ねっとわぁく”だなんて、随分とハイカラな言葉を使うじゃないか、鳴滝彦。」  そう言われて鳴滝彦も言い返す。  『伸太郎さんこそ、若いのに”ハイカラ”なんて古い言葉、よく知ってますねぇ。』  伸太郎は眼を細めてニヤリと笑った。  「僕は古いモノが好きなんだよ。」  そう言われて伸太郎の視線の先を見ると、 古事記 日本書紀 万葉集 古今和歌集などなど、日本の古典文学がずらりと並んでいた。  『伸太郎さん、これ全部読破してるんですもんねぇ、凄いなぁ。』  誉められると、人間嬉しいモノである。
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