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「猫又だってぇ!?
これはまた、珍しい妖がでたもんだね。
てか、”らしい”ってのはどういう事だい?」
そうそう現れる事のない妖の中でも、猫又はさらに珍しい部類に入るようだ。
『ね、珍しいでしょ?
私だって、千年も現し世にいて、猫又なんて名前は、そう聞くものじゃないですからね。
あと、情報源はヒ・ミ・ツ、ですよ。
私にゃ私の”ねっとわぁく”ってモンがあるんですからね。』
伸太郎が『猫又』の名前を聞いて興味を示した事に満足した鳴滝彦の言葉に、伸太郎はぷっと吹き出した。
「”ねっとわぁく”だなんて、随分とハイカラな言葉を使うじゃないか、鳴滝彦。」
そう言われて鳴滝彦も言い返す。
『伸太郎さんこそ、若いのに”ハイカラ”なんて古い言葉、よく知ってますねぇ。』
伸太郎は眼を細めてニヤリと笑った。
「僕は古いモノが好きなんだよ。」
そう言われて伸太郎の視線の先を見ると、
古事記
日本書紀
万葉集
古今和歌集などなど、日本の古典文学がずらりと並んでいた。
『伸太郎さん、これ全部読破してるんですもんねぇ、凄いなぁ。』
誉められると、人間嬉しいモノである。
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