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じっとりした熱風に、吾妻猛は、もともと細い瞳を更に細め暑さに揺れる建物までノロノロと歩いた。
夕べ恋人に発見された青いハガキ。そこには免許更新の文字。恋人はまさかという顔で猛の鼻先に突きつけた。
「お前…先週行ったんじゃなかったのか」
僅かばかり恋人の手が震えているようにも感じる。
「ああ…」と、そう言えば先週そんな話もしたなと思い出した。
「あのね、暑かったし、やめたの」
ケロリと言うと、僅かに震えていた恋人の腕は更に震えはじめ、「お前なぁ!」と大声を出された。
「免許更新てのは誕生日の前後1ヶ月の限定で、しなけりゃ取り消しだぞ」
「そう言えば後2日で1ヶ月…」
言い終わらない内にバシンと裸の尻を叩かれ跳び跳ねた。
「ったあ…」
振り返ってみると白い尻にデカイ紅葉。こういう時体育会系の恋人に少しイラつく。誕生日も把握した気の効く恋人…しかしその実態は小学校から続く腐れ縁でもある。高校を出た頃からこの男の熱血的ノリは容赦がなくなってきた。
「お前はいつも尻に火がつかんと行動しない!」
「尻に火なら今…」
右の尻をさすりながら呟くと容赦なく左の尻にも紅葉を作られた。
「いいか!明日絶対行ってこい!」
興奮気味な恋人の一押しで今に至る。
…鬱陶しい…
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