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猛は立ち尽くしていた。
全く解らなかった。
CanCamやらananやらよく解らないが、そんなので見かけるイマドキ女子…
が、
言ってる意味が解りません。
何?
唐突に。
欲しかった温もりに満たされた筈の体が、勢い余って背筋にぬるい滴を滑らせる。
「ええと…あ、ありがとう」
こういう時、返事をしてしまう田舎染みた自分の性格が嫌になる。こんな気持ち悪い、しかも女、放っておけばいい。厄介なことに巻き込まれかねない。
逃げ場探しに時計を見上げると、早くも講習の時間。ホッとして女をすり抜けた。「じゃ」なんて、うっかり会釈してしまいながら。
極寒の講義室に戻ると既に講師役の警察官が黒板の前で資料に目を通していた。適当に空いた席に腰掛ける。 体を擦りながら何とか30分をやり過ごした。
芯から冷えきり、やっと冷蔵庫から抜け出した時には、あの女はもう居なかった。
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