15人が本棚に入れています
本棚に追加
舞台はディース公国城内。
小鳥が鳴き始めた頃、身軽な灰
色の軍服に身を包んだ数人が一
列に並び、ある一人の騎士の朝
稽古を見学する所であった。
この一人の騎士は見た所大分
華奢だが、この国で三本の指に
入る程の功績を挙げた騎士で、
普段はお前たちも練習しろと一
喝されるため、一兵士が練習を
見学するというのは、なかなか
できない事である。
練習をすると思えたその騎手は
、何を思ったか、剣の代わりで
あろう木の棒を一本、見学しよ
うとしている兵士の一人に投げ
た。
騎士は茶色の髪をかきあげ、セ
ピア色の目を細めニヤリと笑う
とこう言う。
「見るだけでは
少々つまらなくないか?」
兵士達は顔を見合わせた。
最初のコメントを投稿しよう!