序章

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 舞台はディース公国城内。 小鳥が鳴き始めた頃、身軽な灰 色の軍服に身を包んだ数人が一 列に並び、ある一人の騎士の朝 稽古を見学する所であった。  この一人の騎士は見た所大分 華奢だが、この国で三本の指に 入る程の功績を挙げた騎士で、 普段はお前たちも練習しろと一 喝されるため、一兵士が練習を 見学するというのは、なかなか できない事である。 練習をすると思えたその騎手は 、何を思ったか、剣の代わりで あろう木の棒を一本、見学しよ うとしている兵士の一人に投げ た。 騎士は茶色の髪をかきあげ、セ ピア色の目を細めニヤリと笑う とこう言う。 「見るだけでは  少々つまらなくないか?」 兵士達は顔を見合わせた。
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