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木の棒を受け取った一人の兵
士は、取れるのではと思う程首
を振る。
それでも騎士の表情が真剣にな
ると首を振るのを止めた。
「差し出がましいようですが
彼はまだ昨日来たばかりの
見習い兵士です。
騎士様の練習相手には
役不足かと……」
大変言いにくそうに、木の棒を
受け取った兵士を指差し、他の
兵士達が騎士をなだめた。
しかし残念な事に、騎士は全く
怯まなかった。
「ならば尚更
良い経験になるではないか。
いつ戦場に駆り出されるやも
しれぬ。
出来る時に最大限出来る事を
すべきだろう」
ここまで言われては、もう一
兵士が言い返す事は出来なかっ
た。
木の棒を持った見習い兵士に騎
士が視線を投げかけると、見習
い兵士は諦め、すごすごと騎士
の前に歩みを進める。
両者構えたのを認め、勢いの良
い見習い兵士の掛け声で
手合いが始まった。
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