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何故今そのような事を聞くの
か見習い兵士は理解に苦しんだ
が、やっとの事で声が出たので
丁寧に答えた。
「姉、妹、弟が一人ずつ……」
それを聞くやいなや、騎士は
ある部下を呼んだ。
「ツォーネ。
この者の故郷に向かえ」
「期間は、そうだな……
往復20日もあれば十分だろう」
ツォーネと呼ばれた部下は片
膝をついた状態で顔を上げずに
短く命令に応える。
そのやり取りから意図を汲み取
った見習い兵士は慌てて騎士に
意見した。
「いつ戦争が起きるか
分からない時分、
少しでも多くの戦力を得たい
のは分かりますが」
「どうか、
どうか彼らは
そっとしておいて下さい。
お願いします」
騎士は見習い兵士をちらりと
目の端にとめただけで、言葉を
続ける。
「どんな事をしても構わん」
「優秀な人材を
少しでも多く見つけ、
城に連れてこい」
再び短く応え、ツォーネは軍服
に純白のマントを羽織り、馬に
跨って城を出た。
【序章・了】
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