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確かに暗証番号を入力するより鍵を使い開けたほうが防犯上いいだろう。
受け取った鍵を何気なく見つめると、無くさないようにズボンのポケットにしまった。
「スーパーもう見えてるわよ」
村上さんの声に顔を上げ、視線をたどると店が見えた。人がよく出入りしていて、とても賑わっている。
「帰り大丈夫? 道わかる? 買い物が終わる頃に迎えにきましょうか?」
村上さんが子供にするように心配してくれる。村上さんからしたら二十歳の私なんてまだまだ子供なんだろう。
「大丈夫ですよ。村上さんがしっかり案内してくれましたから。この辺の地理はきっちり頭に入りました。本当にありがとうございました」
決して大袈裟ではなく、本当に村上さんの道案内は分かり易くすんなり覚えれた。
笑顔で頭を下げた私を見ると、村上さんはいつものように優しく笑った。
「そう? じゃあ、私は行くわね。相田さんみたいな人が入居してくれて嬉しいわ。良かったら今度お茶しましょうね。」
私は笑顔のまま頷く。村上さんはそれを見届けると、ずっと押していた自転車にまたがり颯爽と去っていった。
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