12人が本棚に入れています
本棚に追加
賑やかな店内を人を縫いくぐり、やっとの思いで買い物を済ました。 半額になった惣菜三パックと白いご飯をビニール袋に詰め、外に出るとすっかり暗くなっていた。
ゆっくり周りを見ながら新しい自宅につくと丁度オートロックを操作している四十代位の男の人がいた。疲れた横顔をしている。仕事帰りだろうか。
余計な詮索をしながら開けられた自動ドアを一足遅れて通る。男の人は振り向き、少し警戒色をみせた。
無理もない。私だって自分の開けた自動ドアに他人が一緒に入ってきたら警戒するだろう。後を付けられ、そのまま……というニュースも少なくない。
「今晩は~」
警戒されていること自体は別に気にしないが、狭い箱に怪しい人物と二人きりになる男の人の心中を察して少しでも安心出来るように明るめの声で挨拶をした。
男の人の肩が下がることで警戒が解かれたことが分かった。男の人は自嘲気味に笑うと挨拶を返してくれた。
自分の部屋に入ると手に持っていた袋をテーブルの上に置きテレビの電源を入れると一軒のマンションが映し出された。黄色く明るい建物の映像とは裏腹に音声は、ストーカー被害にあっていた女性の悲しい結末が読み上げられていた。
最初のコメントを投稿しよう!