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「……貴女を部長にする為よ。貴女を部長にすることで、朱紗香澄という存在を多くの人に知ってもらいたいのよ。
そして、私はそのサポートをしたい。そうするには、既存の部活に入るのでは駄目なのよ」
其れを聞いて、私を部長にすると言ったことの合点がいった。しかし、理解することと了解することは違う。正直なところ、断りたい。
「あの、キキョウちゃん。キキョウちゃんが言いたいことは大体わかったわ。けれど…」
と断ろうとしたら、キキョウちゃんがそれを遮り、
「それは良かった。きちんと伝わったようで嬉しいわ。其れなら、この話を受け取ってくれるわよね? ふふ、嬉しいわ。少し不安だったから……本当に。これから恋愛に友情に励んでいきましょうね、香澄」
と、喜色満面という感じで言い放った。キキョウちゃんはずるい。そんな顔で言われたら、断りづらくなってしまう。……どう断ろうか……
うん?……今の発言に少し気になる言葉があったぞ。それも私が最近、一番理不尽さを感じた言葉だ。
「キキョウちゃん、今、『恋愛』って言ったかな?」
「ええ。言ったわよ。何ならもう一度言いましょうか?」
「それはいいけど。それは、私の恋愛を応援するということでいいのかな?」
「少し違うけれど、概ねそうなるわね。昨日もそうだったけど、告白されたのに振られるなんて、罰ゲームといっても過言じゃないわ。でもクラブがあれば、そこで貴女のことを知ってもらえるじゃない。そういう意味で、『恋愛』と言ったのよ。もしかして、必要無かったのかしら」
その言葉で、私の決意は決まった。
「いいや、それは違うよ。キキョウちゃん。その言葉が、決め手になったよ! 私は、部長をやらせてもらうよ、キキョウちゃん!」
「ふふ。ありがとう、香澄。貴女なら、きっとそう言うと思っていたわ」
「がんばろうね、充実した高校生活のために」
そうして、私達はがっちりと手を取り合った。
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