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「あの、先輩。部活に入ってくれましぇんか?」
噛んだ。そして直球過ぎた。これではきっと断られるだろう。
「良いわよ。よろしくお願いしますわ」
「いえ、そこを何とか…って、良いんですか?入部してくださるんですか?」
「確かにそう言いましたわ。二度も言わせないでくださる?」
「えっと、でも、何をする部活なのかとか、全然説明してないですよ?」
「そこの少年から説明は受けましたわ。後は部長を見て決めてくれと言われていましたのよ。だから、貴女を見て決めましたわ。貴女が部長なのでしょう?」
「はい、そうです。部長の朱紗・香澄と申します」
「そんなに畏まらないでいいですわ、部長さん。わたくし、貴女のことを一目見て気に入ってしまいましたの。私の名前は蜂須・嫦央子(はちす・じょうこ)ですわ。以後お見知り置きを」
「よろしくお願いします。では、改めて蜂須先輩、入部ありがとうございます」
「たっぷり可愛がらせてもらうわ。よろしくね」
何か変な挨拶をされたような気がしたが、気のせいだろう。きっとこの悪寒も気のせいだろう。
今日のところは時間も遅かったので、先輩に部活申請用の提出書類に記入をしてもらっただけで解散することとなった。
「あら、朱紗ちゃん? この書類の部活名が記入されてないけれど、どんな名前なのかしら? 活動内容はお聞きしましたけど、名前を聞くことを失念していましたわ。このまま私が記入してもいいのかしら?」
「あっ、いえ、私が書きます。
ええと、キキョウちゃん、なんて名前なの?」
「香澄、貴女が決めていいわ。この部の活動を聞いた時に貴女が感じた名前を付ければいいと思うわ」
「そうなの? う~ん……それじゃあ、キキョウちゃんに聞いた時の印象でこんな名前かなと思ったのにするね」
そして私は、蜂須先輩から書類を貰い、記入してから皆に宣言した。
「この部の名前は
『思春期クラブ』
に決定しました」
みんなが苦笑していたのは気のせいだと思いたい。
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