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「好きにしていいですって!?」キキョウちゃんが叫んだ。しかし、私も叫びたかった。けれど、ぐっと堪えて伊藤君に確認した。
「ちょっと待って。私は了承していないよ?それに好きにしていいって……どの範囲までの話なの?」
「トカゲさんには事後承諾でいいかなと。後、好きにしていい範囲は常識的に、トカゲさんが本当に嫌がるギリギリの範囲までだよ。トカゲさんが嫌ならそう言えばいいと思うよ。そうなったら、彼女の方もやめてくれると思うし」
「……事後承諾もなにも、先輩を入れちゃった以上はその約束を破るわけにはいかないと思うし、これも部長の仕事なんだと考えて諦めることにするよ」
「トカゲさんなら、そう言ってくれると信じていたよ。さっきまでは、熟睡することも出来ないくらい罪悪感を感じていたけれど、これで今夜もぐっすりと眠れるよ」
「伊藤君はもう少し罪悪感を感じてくれてもいいと思うよ」
正直、物凄く怒りを感じていたが、この部活を続ける為にはしょうがないし、伊藤君が力を貸してくれたのも事実ではある。だから、今回のことは必要事項だと思って諦めようと思う。そう言えばキキョウちゃんがさっきから何も言ってない。不思議に思ってそっちを見ると、キキョウちゃんは顔を赤くして、小声で何か呟いていた。
「キキョウちゃん、大丈夫? 顔が真っ赤だよ」
「……香澄……そんなことまで……羨ま……いえ……破廉恥だわ……。っ香澄? ごめんなさい。少し考え事をしていたわ。何の話?」
「ううん。何でもないよ、キキョウちゃん。でも今日は早く帰って休んだ方がいいと思うよ」
「?そうね。時間も遅いことですし、まっすぐに帰りましょうか」
そうして、私達はそれぞれの家へと帰った。
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