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「あ、あなたのことが好きです!!付き合ってください!!」
唐突な告白だった。私の顔は赤くなっていると思う。ちょっと恥ずかしい。告白してきた彼は、頭を下げて手を伸ばしてきている。OKだったら、手を取ってくれというサインなのかな?
今、彼の顔は見えないけれど、たぶん真っ赤なのだろうな。なんてことを思いながら、どう返事しようかと考えていた。
と、そんなときに彼が、
ガシッと私の手をとってきた!(は、恥ずかしい)
「お願いします!一目惚れなんです!」
自己中心的だけど、なんだか男らしい告白台詞が飛んできた。(もう駄目っ!)
そうして、緊張と恥ずかしさの臨界点を突破したその時
ブチッ
嫌な音が響いて、私の手首はちぎれた。
(やっちゃった)
目の前の彼は茫然としていたが、それもしょうがないだろう。血が出ていなくても、目の前で手首が切れるというのは、衝撃映像だと思うし。私も最初は、気絶したし。気絶しないだけ彼は、肝が据わっていると思うわ。そんな彼を見ていたら、さっきまでの気持ちはどこへやら、冷静になっていたわ。漸く、彼にも表情が戻ってきて
「ごっ、ごめんなさいっ!俺のことは忘れてください!」
そうして彼は、去って行った。私の手首を投げ捨てて……。
(人の手首は大事に扱いなさいよ)と苦笑しながら、それを拾う。それは、まだ温かくてピクピク動いていた。……高校に入って何回目だろう……告白されて、すぐに振られてしまうのは……。告白される度に手首やら何やらがちぎれていてはしょうがないとは思うけれど。はぁと軽く溜息を吐いて、切れた手首を眺めながら思う。
こんなわけのわからない病気に振り回されるなんて、私、朱紗香澄(あかしゃ・かすみ)の思春期はなんて理不尽なんだろう、と。
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