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告白(振られた)あと、私は、昇降口で待っているキキョウちゃんのところに戻った。キキョウちゃんは、私がトカゲノシッポだと知っている数少ない友達の一人だ。小学生からの付き合いで、背はあんまり高くないけれど、目が大きくてお人形みたいに可愛い娘だ。見た目に反してかなり気が強くて、こんな体質になってイジメられそうになった私を守ってくれたこともあった。キキョウちゃんは私の守護神のような人だ。恥ずかしくて、面と向かって言ったことはないけれど。
昇降口に着き、私はキキョウちゃんの姿を探す。と、すぐに見つけた。
「キキョウちゃーん。こっちは終わったよ」
声をかけると、キキョウちゃんもこっちに気がついて、
「あら。どうでした?」
「いつも通りこのザマだったわ」
と、千切れた手首をプラーンとぶら提げて見せてあげた。
「今回も千切れちゃったのね。で、相手には逃げられたと。本当にいつも通りね」
と、キキョウちゃんは呆れながら言った。ここまではいつもの会話だ。千切れた手首に驚くこともない。
「体の方は大丈夫かしら?」
「うん。まだ再生が始まってないから大丈夫。でも、もう少ししたら始まるから、今日は一緒に買い物行けないや。待たせちゃったのにごめんね」
「いいわよ。それよりも事故が起きないように早く帰らなくちゃね。買い物はまた今度、元気なときに行きましょう」
「うん。また今度ね。本当にごめんね」
「気にすることはなくてよ?私はいつだって構わないのですし、香澄の体の方が大事だわ。さぁ、立ち話もなんですし、続きは歩きながら話しましょう」
「そうだね。じゃあ帰ろうか」
そうして、私たちは帰り路についた。
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