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ムッ、とでも表せそうな程固く閉じられたその唇は赤く、血色がよい事を示している。
綺麗に通った鼻筋は男の俺でもとても羨ましい。
きめ細やかな白い肌は荒れている所が一つもなく、綺麗だと素直に思えた。
しかしとりわけ目を見張るのはその瞳だった。
大きな瞳は切れ長。その瞳はとても澄んでいて、羨ましいほど濁りがなくて、思い違いではなく、見間違いではなく、俺のことを見据えていた。
それを、その目を見たとき、俺は心を奪われてしまって、さっきまでぐるぐるごちゃごちゃ考えていた俺の脳みそは……考えることをやめた。
3
彼女と付き合うことになって一週間が経過した。
この一週間でわかったことは、彼女が顔とは対照的に非常に可愛い性格だったということ。
あとは彼女の名前。弥生女々(やよいめめ)と言うらしい。人のことは言えないが珍しい名前だなーと思った。
そして最後。彼女が俺の通っている高校の生徒だったっていうこと。
同学年だった。まあ彼女のおかげで普通に普通の高校生だった俺の普通に普通の高校生活は終了を迎えたようだった。
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