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「うぅ…」
強い朝の光によって夢は中断させられた。
眩しい、遮光カーテンを突き抜けるほどに。
これって遮光の役割を…いいか、今日は日曜日だ。小さいことは気にしない。
さてもう一眠り、はできなかった。
幼馴染みと買い物に行く約束があったんだ。
時計に目をやる、あまり余裕があるわけではない。
てきぱきと着替を済ませて自室を出る。
「あ、お兄ちゃんおはよー。今日は日曜日なのに早起きなんだねー」
この間延びした声は妹の『内藤 日和』(ひわ)。
おっとりしているが我が家の家事を一手に引き受ける、と言っても両親は既に他界していて俺が全く家事が出来ないからではあるが…。
とにかくなかなかの行動力をもつできた妹だ。
「あーおはよ、今日は久羽さんと買い物の約束があってな。この間たまたま街であってさ、久しぶりに遊ぼうって。」
『新項 久羽』(くう)
幼馴染み、正確に言えばその姉に当たる人。落ち着いている独特の雰囲気を持つ大人の女性、といった感じか。時々よくわからない所もあるが…。
「へー、久羽さんとお買い物かー。蓮子ちゃんは?一緒に行かないの?」
『新項 蓮子』(れんこ)
幼馴染みで小中高校がずっと一緒の腐れ縁。ツンツンしていて姉の久羽さんよりよくわからない奴。まぁ基本はいいやつなんだけど。
「いや、蓮子は用事があって来れないってさ。そうだ、お前も一緒に行くか?久羽さんもきっと喜ぶぞ」
俺の問いに暫く悩んだが日和は
「んー、いいや、まだ宿題終わってないし。久しぶりに二人で楽しんできなよ。でもHな事しちゃだめだよ?」
…思春期か?
「しねーって。お、もうこんな時間か。ぼちぼち出発しますかね」
そう言うと日和は俺を玄関まで見送った。
「お兄ちゃん、久羽さんによろしくねー」
後ろを向いたまま手を振って答えた。
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