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この辺りの繁華街、通称『街』まではバスで30分弱、久羽さんとの待ち合わせ場所は駅のバス停だ。
バス停までは自転車で15分ほど。
特に代わり映えしない地元の街並みを自転車で駆ける。
バス停に到着したのは待ち合わせ時間である10時の10分前。これなら上出来だろう。しかし
「やぁ文、早いな。流石私が見込んだ男だ」
『内藤 文』(ふみ)
まぁ俺なんだがなww
成績並、運動も並、顔は…不細工ではないと思う。多分。
両親が他界して妹と二人暮らし、新項姉妹とは小学校の頃からの付き合いだ。
「見込んだって…、久羽さんこそ早いね。待った?」
俺の問いにさらりと答える
「朝から街に下見に行ってきたんだ。それからここに着いたのが9時45分くらいだから全然まっていないよ。」
え、下見?なんですと?
「久羽さん、下見って?」
率直にして直球な意見を述べる
「久しぶりの文とのデートだし、年上としての義務というか趣味というか、まぁいいじゃないか。ほらバスが来たぞ」
やっぱり久羽さんには自分ルールがあるみたいだな…にしても
「これってデートなんですか?」
またしても質問、久羽さんと付き合った覚えはないはずだが
「二人がデートと思えばこれは立派なデートになると思わないか?ほら乗るぞ、楽しみだなぁ」
ふわりと笑う久羽さんに手を引かれで二人でバスに乗り込んだ。
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