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バスに乗り思考を巡らす。
さっきはデートじゃないとか言ったが正直、久羽さんは素敵だ。
実は昔からの憧れの人だし好意も当然ある。
「…い、おーい文君。」
はっと気がついた。
「あ…、はい、なんですか?」
久羽さんの表情は読めないがしゃべり方で良い気分ではないようだ。当然か。
「さっきから上の空だね。やっぱり私と二人なんて楽しくない?」
予想はできたがこれは最悪の展開に成りかねない、なんとか挽回しなければ!
「すみません、久羽さんと二人きりなんて初めてで緊張、っていうかなんて話せばいいかわからなくて。でも久羽さんと二人は嬉しいですよ」
俺、言い訳下手だな
でも俺がそう言うと久羽さんは笑った。
「そうか、よかった。ちなみに私も緊張してるよ。そして二人きりは初めてじゃないぞ」
なぬ?
「蓮子がインフルエンザにかかって学校を休んだ時があっただろ?」
そうだ、だんだん思い出してきた
「そうか、あの時も久羽さんと二人きりでしたね。確かあの時も緊張したなー」
む、と久羽さんが唸る。
「ただ二人でお茶をのんで礼を言っただけじゃないか」
あの頃から俺は久羽さんに憧れてたんだな
「年上の人と話したことなかったんですよ、今はデートって事で緊張してます」
『デート』という単語に久羽さんが食い付く。
「文君もデートと思ったか。ならこれは立派なデートだね」
しまった…、まぁいいか。憧れの人とデートだ。悪い気はしない所かニヤニヤしちゃうぜ。久羽さんの機嫌もなおったし。
多分、日和は俺に気をつかったんだろうな。
とことんできた妹だ。
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