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「隼人は卑怯だ……都合の悪い事はそうやって誤魔化して……」
「誤魔化すつもりなんて無いさ。ただ、したかっただけだよ」
「……さらりとエッチなことを言うんだな、君は」
「……うるさい」
「やはりこれのせいか?」
ベッドの下から取り出したのは彼が夜のお供にしている薄い雑誌。要はエロ本。
「まったく、こんなものを読むくらいなら最初から私がおろうに」
「いや……その、なんだ。性欲の捌け口にするのはちょっとな~って思って……」
「それは私が魅力的じゃないから、ということか?」
勘違いをされてしまった。勿論彼の目にも彼女はとても魅力的に映っている。だが、大事だからこそ安易に手を出すのは我慢すべきことだと考えていた。
紫苑にとっては性交が二人の中の証明になるとでも思っているのだろうか。
まだ告白すらない間柄なのに。
「そうじゃなくて、大事だからこそだよ」
一呼吸置いてから彼は気付く。これは最早告白なのでは?と。
彼女もある程度は理解してくれた。勿論告白だと勘違いしてくれたようだが。
「も、もお……急にそんな恥ずかしい事を言い出すな。照れるであろう……」
誤解がまた一つ生まれたようである。
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