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「そうだ。証拠隠滅しちゃえばいいんだ」
主人公にあるまじき発言。しかし彼はそれを実行に移したのだ。散らばる下着を集め、紫苑に着させれば気づかれないという浅はかな考えだが、冷静な判断力を失った今の彼にはそれくらいしか浮かばなかった。
そして集めた下着を手に、紫苑の布団をめくる。その豊満な体に一瞬見とれてしまうが、すぐに彼女の下着を履かせようとする。
が、間の悪いことに紫苑も起き出してしまう。ゆっくりと裸のまま体を起こし、周囲の状況を確認する。
「ん~……?んむ……」
寝ぼけ眼の紫苑は暫くうつらうつらとしていたが、割とすぐに状況を把握してしまう。
しかも彼女はなまじ頭が良いのを自覚しているので、状況把握をする際も自らの頭脳に頼る癖がある。合っているかどうかは別として。
「……ヤリたいならそう言ってくれればいいのに」
「違うって」
「私ならいつでもいいぞ?」
「違うってば」
しかしだからといって自分ですら訳が分からないのに説明などできやしない。
しかし彼女も自分の頭脳を信じているが故に、一度そうだと思い込んだら頑固になってしまうところがあり、誤解を解くのは至難の業に思えた。
「だが、少し肌寒い。できれば服を返してくれるとありがたいのだが……」
ちなみに彼女の下着は、彼がしっかりと握り締めていた。
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