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即ち、彼女の好意が他ならぬ彼に向いていることだ。彼の推測の中にそれは含まれていない。
というのも、彼はいささか卑屈な面があり、その性格故に彼女に劣る自分に、まさか好意が向けられることはないだろう、と内心思っていた。
「俺は、ずっとお前と過ごしてきた。だから、こんなことをしなくても離れていかないさ。少なくとも、俺からは」
そう。卑屈だからこそ彼女に近づいていたかった。まるで光に寄ってくる蛾だと罵られても構わない。不釣合いだと蔑まれても構わない。
「隼人……。分かった!じゃあ帰ったら今の続きをしよう!二人の関係をより近いものにするのだ!」
やはり自分の意思を伝えるのは大変だな、と痛感した一日だった。
ちなみに、この後二人がどうなったかは機会があればいずれ。
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