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「隼人……今の女は誰だ?」
ビクッ!と体が跳ねる。いつに間にか彼の隣に紫苑が寝転がっていたのだ。
そして間の悪い事に先程の一部始終も見られてしまった。そうなるとまた面倒な事態になるのは目に見えている。
「私をまた一人ぼっちにする気なのか?他の女のところに行っちゃうのか?そんなのは……嫌だ……」
折角煙に巻いたのに、またもぶりかえすようにこの質問。見かけによらず繊細なのが彼女の長所であり短所なのだが。
「ただのお隣さんだよ。足を挫いちゃったから送ってやっただけ」
「本当か?信じていいんだな?」
「あーもーうるさいなぁ……」
「う、うるさいだと……んぐっ……」
彼女は彼に唇を塞がれ、抗議の言葉が出なかった。それどころか、彼のその行動に嬉しいとすら感じていた。
「大丈夫。俺が居るから。大丈夫。大丈夫」
そっと唇を離し、今度は優しく抱きしめる。女の子特有の良い匂いが彼の鼻腔をくすぐる。
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