プロローグ

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その日、紗耶香は体育の授業を見学していた。 表向きは生理痛という理由だが、実際はただのサボりだ。 (…だりいなあ) 紗耶香は自分の通う恐ろしく真面目な高等学校に嫌気がさしている。 髪を染めているのなんてこの学年では紗耶香ぐらいだし、今日の体育の内容は持久走にも関わらずクラスメートは皆真面目に校庭を走っている。 あぐらをかき、欠伸をしながら、紗耶香は手持ちぶたさに砂で遊び始める。 ムカツク教師の名前や好きなロックバンドの名前を意味もなく書いた。 「…?」 その時、手に何かが触れたのだ。 (なんだ…雑草かよ) それは双葉をつけた、まだ弱々しい植物だった。 (…さっきまで無かったような…) だが、きっとそれは気のせいだろう。 そう思い直して、紗耶香は再び砂のキャンパスに落書きをする。 .
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