―第一章―《五月》

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風が止んで、堅く閉じた瞼をゆっくり開けると、そこには一人の男性が立っていた。手には、とばされた結衣の手紙を持っていた。 《これ…きみの?》 低い声の、優しい笑顔の人だった。 結衣「あ…はぃ。ありがと…ございます」 手紙を手渡されたとき、結衣の心の奥で、オレンジ色の暖かな火が、小さいながら灯った。
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