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「!?」
「さっ、急ぎますよ!今夜はおでんですからねー。」
びっくりして声も出ない涼介に、高野は一瞬ほほえんで、すぐにいつもの調子に戻った。
「たたた、高野さん!」
早足で歩く高野の後ろを追いかけながら涼介が言った。
「高野さん、好きだよ…。」
小さな声だがはっきりと。そして、高野も言った。
「私も好きですよ。涼介くんのこと。」
………。
しばらくの沈黙、しかしさっきの沈黙とは違い、2人の間には温かくてちょっぴりくすぐったいような空気が流れていた。
夕暮れ時の中華街、おいしそうな匂いにまぎれて、苦くて甘いごちそうがそこにあった。
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