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漆黒から離れ、人の気配のないところまで来ると焔は面を取って自分にかけていた変化を解いた。 そこに現れたのは、先ほどよりも20cmほど小さくなった金髪の少年だった。少年は先ほどと同じように月を見上げる。海と同じ色の目をした少年の瞳には、月が小さく映りこんでいた。 里の賑わいを隠した大通り、商店街を抜け、家が立ち並ぶ通りをすぎる。そうして昼間でも人の通りが殆どない場所までゆっくりと歩いてくると、2階建ての古いアパートがあった。 人の気配のしないアパートはしんと静まり返っていた。少年はアパートに設置されている階段上ると、廊下を歩いていくつかの扉を横切る。一番奥にある扉の前まで来ると足を止め、少年は鍵をさしてドアノブを回す。 キィっと小さく嫌な音を立てて、それは開く。少年は明かりもつけずに中に入ると、パタンと扉を閉じた。
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