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八月十五日午後八時十五分。
僕は、うだるような暑さを少しでも和らげようとコンクリートの壁に体を預けていた。
「ああ、気持ち良い」
背中から伝わる冷たさは、僕自信の体温に暖められ徐々に温くなってゆく。
僕は死刑囚だ。
あと数時間後には、こうして温もりを感じることも出来ない体になっていることだろう。
罪状は殺人罪。
僕は沢山の人々を殺めたのだそうだ。
だけど、僕には記憶がない。
「そう、記憶がないんだよな」
あの日、僕は家でオンラインゲームにいそしんでいた。
そのゲームは、天使派と悪魔派に別れて殺し合いをするというディープなものだ。
僕は自慢じゃないがネトゲ廃人と呼ばれる部類である。
したがって、そのゲームが配信されて一ヶ月で、僕は天使派の英雄と呼ばれるまでになっていた。
確か僕は、コンビニに飲み物とお菓子を買いに行こうと思って…
気が付くと、僕の着ていた服は血まみれになり、まるでサンタクロースのようで、そして右手には、いつも護身用に持っているナイフが血まみれで収まっていた。
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