『キーワードなし』

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 次のプレイがかかった瞬間、俺はベンチに座っていた。 「もう良い。お前には失望した」  短い言葉。  俺の胸に突き刺さる言葉。  変わってマウンドに立った二年生が最後を締め、チームメイトが一斉にグラウンドに飛び出す。  しかしその中に、俺の姿は無かった。 「タッちゃん、また聞いてなかったでしょ?」 「あぁ」 「甲子園、行こうよ」 「あぁ」 「ほんとに!?」 「ただし、スタンドからだぞ?」 「やったぁ!」  次の日から、俺の背番号が二桁になった。 俺はすべてが崩れたようで、何もかもが嫌になって、野球部から逃げ出した。  そして、気付いたら彼女が側にいた。  なんの因果か彼女は野球が大好きで…いや、その話は今は良いや。 「さあ、応援しに行くぞ」  幽霊も日射病とかなるのかな? 「はい!」 彼女の声は、俺には天高く響いて聞こえた。
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