1人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
次のプレイがかかった瞬間、俺はベンチに座っていた。
「もう良い。お前には失望した」
短い言葉。
俺の胸に突き刺さる言葉。
変わってマウンドに立った二年生が最後を締め、チームメイトが一斉にグラウンドに飛び出す。
しかしその中に、俺の姿は無かった。
「タッちゃん、また聞いてなかったでしょ?」
「あぁ」
「甲子園、行こうよ」
「あぁ」
「ほんとに!?」
「ただし、スタンドからだぞ?」
「やったぁ!」
次の日から、俺の背番号が二桁になった。
俺はすべてが崩れたようで、何もかもが嫌になって、野球部から逃げ出した。
そして、気付いたら彼女が側にいた。
なんの因果か彼女は野球が大好きで…いや、その話は今は良いや。
「さあ、応援しに行くぞ」
幽霊も日射病とかなるのかな?
「はい!」
彼女の声は、俺には天高く響いて聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!