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「ル、ルーノス…その、カミっちの嘘って…なんなんだよ?」
しばらく訪れた静寂を、クロアが切り開いた。
全く話に付いていけず、ヴェルは帰り、気まずい雰囲気が流れたのだから、困惑は隠せない。
「あぁ……いや、正確に言えば死神は嘘を吐いちゃいねぇよ……でも、何の解決にもならねぇって話だ」
「それが、殺される……って話?」
「そうだ。この先を行き長らえる為に死神はテメェに“復讐”を奨励する……確かにそれを成し遂げれば寿命は復元するんだろうよ」
ただ……と、そこで一度言葉を切り、ビールを口にする。どこか遠い目をしていた。
「ただ、寿命が復元したところで<人として産まれた死神>は直ぐに殺される……俺達<タイムルーラー>にな。……補正だよ」
時代補正。それによりタイムスリップした彼らに、殺される。
「じゃあ、もし、俺が……」
「もしテメェが復讐を成し遂げたとしても、俺様の何代か後の後輩がこの時代に現れ、テメェに敵対する。……呪いと共に《魂》まで消えちまうテメェに、勝てるわけないだろ?」
「なるほど……」
だから、ヴェルとルーノスは仲が悪かったのだ。自分が力を貸した人間をことごとく殺される──死神とタイムルーラーは、因縁染みたものがあるのだろう。
もっとも復讐など欠片も思っていないクロアにとっては、他人事でしかないのだが。
「まぁ、テメェには無縁の話だ──ところでよ、最近変わったことなかったか?」
それを分かっているルーノスも、話題の転換を図る。この因縁は、他人にどうこう出来るものではない。
「変わったことって──今血吐いた」
「馬鹿かテメェ、んな事聞いてねぇよ──はぁ」
盛大な溜め息を吐き、ジョッキを大きく傾け中身を飲み干したルーノスは追加を注文。
「飲み過ぎだって……帰ってサクラさんに怒られね?」
「あぁ? 俺様の時代に帰ってきた時ぐらい飲ませろ……肝臓の時間を弄ればそこまで酔わねぇし」
「なんて能力の無駄遣い……」
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