第1話:プロのローグ?

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  ドガアァァ────ァン…… 5分前までは立派な研究施設だったであろう場所が、数分にして廃墟と化した。 「ちょっとやりすぎちゃったかしらぁ~?」 そこに、深々とフードを被った黒ローブの“女”が、埃1つ付けずに長さ2mほどの扇をもって立っていた。 「まぁ、関係ないわねぇ~」 そう、彼女が言った刹那。 ビュゥゥゥゥ――― 「ったく、遊びすぎなんだよ<扇姫>は…」 一陣の風が吹き抜けた…かと思うと、後には女が一瞬にして“少年”に変わったかのように立っていた。 「ちょ<扇姫>聞いてる? ねぇ無視?」 人っ子一人いないのに話掛けているその少年は、イタイ事に頭の病気── 『聞いてるわよ~ それに<扇姫>って呼ばないでよ~ 昔を思い出すじゃなぁい?』 ──ではなく、返答は少年の頭の中に返ってきた。 「いやいやいや、昔<扇鬼>と呼ばれたSSSランク犯罪者だった時のように、たった今まで暴れてたのはどこの誰だよ?」 はぁ…と軽く溜め息を吐き、少年は廃墟の中へと歩を進める。 『うっ!? それはぁ~、で、でも~ 私が犯罪者扱いされてた時にぃ~〝俺と自由に生きよう?〟ってプロポーズしてくれたのダーリンでしょ~? だから自由に暴れたのよ、文句言わな~い』 「あぁ…10歳の時だっけ? しかもプロポーズじゃねーし」 『えぇっ あの愛は嘘だったのぉ!?』 声だけになるのだが、彼女はヨヨヨ~と嘘泣きを始めてしまった。 「もういいよ…。 あ…そういやさ、ここのSSランク犯罪組織の研究員の2人も俺達と同じで《特殊》属性を持ってるらしいよ?」 少年は頭に響く声と話を交えながらも、着々と奥へと進んでいた。 『へぇ~、得したんじゃな~い? …でも私の為に《魂》使わせちゃってゴメンね~?』 何か事情があるようで、彼女は本当に申し訳なさそうに謝る。 「ん? 何を今更、俺とお前の仲だろ?」 『ありがとぉ…。 と、ゆーことで、いいかげん名前で呼んでよ~』 「ダメだって、今は任務中だからケジメだぜ? ケ、ジ、メ。 <扇鬼>から<扇姫>に変えて呼べって言ったの誰だよ……。 ──っとここが一番奥だな… いくぜ<扇姫>?」 一番奥と思われる扉を見付けると、穏やかだった目付きを捕食者のソレに変え――開け放った。 「こんちゃーす、犯罪者サンいる?」 目付きの割には中々の脳天気さを見せ付けた少年。 それは余裕の顕れか──  
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