第16話:死神のリスク

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  「ル、ルーノス…その、カミっちの嘘って…なんなんだよ?」 しばらく訪れた静寂を、クロアが切り開いた。 全く話に付いていけず、ヴェルは帰り、気まずい雰囲気が流れたのだから、困惑は隠せない。 「あぁ……いや、正確に言えば死神は嘘を吐いちゃいねぇよ……でも、何の解決にもならねぇって話だ」 「それが、殺される……って話?」 「そうだ。この先を行き長らえる為に死神はテメェに“復讐”を奨励する……確かにそれを成し遂げれば寿命は復元するんだろうよ」 ただ……と、そこで一度言葉を切り、ビールを口にする。どこか遠い目をしていた。 「ただ、寿命が復元したところで<人として産まれた死神>は直ぐに殺される……俺達<タイムルーラー>にな。……補正だよ」 時代補正。それによりタイムスリップした彼らに、殺される。 「じゃあ、もし、俺が……」 「もしテメェが復讐を成し遂げたとしても、俺様の何代か後の後輩がこの時代に現れ、テメェに敵対する。……呪いと共に《魂》まで消えちまうテメェに、勝てるわけないだろ?」 「なるほど……」 だから、ヴェルとルーノスは仲が悪かったのだ。自分が力を貸した人間をことごとく殺される──死神とタイムルーラーは、因縁染みたものがあるのだろう。 もっとも復讐など欠片も思っていないクロアにとっては、他人事でしかないのだが。 「まぁ、テメェには無縁の話だ──ところでよ、最近変わったことなかったか?」 それを分かっているルーノスも、話題の転換を図る。この因縁は、他人にどうこう出来るものではない。 「変わったことって──今血吐いた」 「馬鹿かテメェ、んな事聞いてねぇよ──はぁ」 盛大な溜め息を吐き、ジョッキを大きく傾け中身を飲み干したルーノスは追加を注文。 「飲み過ぎだって……帰ってサクラさんに怒られね?」 「あぁ? 俺様の時代に帰ってきた時ぐらい飲ませろ……肝臓の時間を弄ればそこまで酔わねぇし」 「なんて能力の無駄遣い……」
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