第1話:プロのローグ?

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  少年が入ったその部屋には、人ひとりが入れるであろう数十個のカプセルが。 そこに散らばった配線が側にあるデスクの上の数十個のパソコンに繋がれていた。 「だっ、誰だっ!?」 「オイ…警備に雇った奴等はどうした!」 等々と、その部屋にいた20人程の研究員が騒ぎだした。 「うるせぇー、あんなザコ集団はもーこの世にゃいねーぜ?」 ハッ…と、見下すように鼻で笑いながら部屋を見渡す少年。 「えーと、お前らは確か…そうそう! 確か“キメラ”を創ったんだっけか?」 「そっ、それがどうした… お前には関係ないだろ?」 「いんや、関係あるからここにいるんだよ? なんせ君達を全員その場で処刑するのが俺っちの任務だかんね」 自慢気に胸をはる少年には、余裕の二文字が伺える。 「おっ、お前は誰なんだ…?」 「その黒いローブ…赤と金の刺繍…まさかっ!!」 「ん? 裏の仕事してる君達ならしってんだろ?」  「……裏ギルドのZ'(Zダッシュ)ランク<魂喰いの死神>ッッ!!」 「おぉー、流石SSランクの組織なら知ってっか 表じゃ裏ギルドは公表されてないからなー」 そう言いながら、少年は両手を羽のように広げる。 「まずい…っ、逃げるぞ!」 流石の研究員達も、相手がどんな人物かわかると焦りを隠せない。 「させると思う?《影縫いーシャドウペーストー》」     魔法。少年はそれを唱えると。 「っ! か、体が動か…ない?」 「!? こっ、こんな魔法――」 「――見たことない…か?」 研究員の台詞に、少年は視透かしたように言葉を重ねる。 「まぁそうだろうな、だって…《影》だもの」 サラッ言う少年だが、事はそんなに軽く無い筈だ。 「異っ…異端者!!」   「おいおい酷いなぁ…そんなの偏見だよ? それに《闇》属性はもう認められたんだよ?」 そう、5年前までは数ある属性の中でも色々な因縁や偏見で《闇》属性は異端とされていた。 まぁ、あくまで5年前までの話だが…。 「あー話すぎたな、早く帰って寝よう、うんそーしよう。 <扇姫>、いつものよろしく」 『ええ、わかったわぁ~《ウェポン・マスター-Ver.サイズ-》』 少年の問掛けに頭の中に返答を返す女――<扇姫>。 しかしこの少年は、はたから見たら只の頭のオカシイ人間だろう。
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