第1話:プロのローグ?

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  しかし、研究員には彼を変人と罵る隙は無かった。 「ッ、いつの間に…!」 「なんだよ、これ…!?」 そう、いつの間にか研究員全員の左胸には、サイズ――つまり大鎌の尖端がつきつけられていたのだ。 「どう? 死神に鎌をつけられた気分は? さぁ、死刑執行だ……魔法付加(魂喰いーソウルアブソードー)」 ──グサッッ 少年の魔法によって黒い光を帯た大鎌が20人程の研究員全員の心臓部分に突き刺さった。 しかし、傷口から血ではなく丸い光の球が抜け出てき、大鎌に帯ていた黒い光に取り込まれる。 そしてそれは少年の元に――少年の胸部あたりに取り込まれた。 ばた、ばた… 研究員全員の胸から大鎌が消えると(文字通り消えた)、糸の切れた人形の様に次々と倒れる。 「──ッ! ぐっ」 研究員全員から抜け出てきた光の球を全て取り込んだその少年は、苦しそうに眉を潜め(フードで見えないが)、片膝をついた。 『ちょっと…! なにもいっぺんに取り込まなくても!』 「くっ、はぁ~、よし大丈夫…。 いや~早く終わらせたかったし? それに《特殊》属性も早く獲たかったし?」 彼女の口調が乱れる程の真剣な心配に、少年は子供の様に口を尖らせながら返す。 『もぉ、いくら私の為にしてくれるとは言っても心配するんだからね~?』 「はいはい、でも20人程の生命力を一気に取り込んだから当分は大丈夫だぜ?」 そう言いながら立ち上がった少年は、ローブに着いている埃を払った。 『そ~ぉ? なら休暇がてらに旅行でもいかなぁい?』 「ん~、考えとくよ… ──よし、任務終わったし、報告して帰るかぁ…《転移》」 任務が完了した事にニッコリと微笑んだ少年がそう言うと、同時に足元が光り、少年はその光に呑み込まれる。 その光がおさまると、少年はその場所から跡形も無く消えていた。 ───廃墟となった研究施設とともに。
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