花狩り

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そんな中、一人の勇猛な王は権力を振るい『花』を全員処刑にする事を命じた。 それによって『花』は減ったが。全て居なくなったわけではない。 生き残った『花』はまだこの世にいくつかいる。それを知った貴族は、美しく気高い『花』を随分と欲しがった。 その歴史は耐えることなく。 まだ、『花』とよばれる者は高値で売買されている。 今現代にいたっても耐えることなく続いている。人々はそれを『花狩り』と呼んだ。 「花…狩り?」 「そう…俺の父も好んで花狩りをしていた」 花狩りは酷い物で、ただ『花』を籠で飼うだけの者もいれば、自分の欲求にだけしたがわせる者もあった。 当時は『花』を所持すること自体が犯罪であったが。幾年か経ち王家は絶た。もちろん『花』の全員処刑は無くなる。 そのせいもあって、『花狩り』は絶えることなく勢を増して続いている。 「そして、花狩りをする家系の1つが石神家」 「咲真は狩人…なのか?」 咲真は困った顔をして首を横に振った。 「俺は守護者…」 「守護?」 「ひかると同じ『花』がここにはたくさんいる」 俺だけじゃない? たくさんいる? 「どうして『花』と人間の区別がつくんだ?」 「色」 …色? 俺は特別白かったり、黒かったりするわけじゃない。なにも人間と変わらない。 「色は肌の色じゃない…オーラや、雰囲気とも言うが…魅力的なのだ『花』は…」 「魅力的?」 「美しく…捕って食べてしまいたくなる程の魅力…」 捕って…食べる… 急に背筋がゾッとした。 そんな記憶あるような 電車でケツ触られたり妙に好かれたり男女問わず告白されたり。 あった…気が。 「本当に食べてしまいたい」 さぁっ…と血の気が引いた。 でも…咲真の綺麗な顔を見ていると…どうでもよくなってしまう。 「安心しろ…冗談だ……、!」 咲真は急にぴくりと動いた。 そして視線を扉にぶつけた。 殺気を帯びた表情をしている。 「残念だがひかる…ここまでだ」 「えっ?」 咲真は俺の上半身を起こし、すっと立ち上がった。 「俺は行かなくてはならない」 「何処へ?」 咲真は何も言わなかった。 ただ真っ直ぐ扉に向かった歩いていった。 「…」
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