・鍵

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俺は結城の口をふさぐように口付けをした。もう聞きたくなかった…たとえそれが俺への感傷でも…もう何一つ言わせたくない。 「ひかる?」 「甘えれば?…俺に」 結城は一瞬真っ赤になって頭を横に激しく振った。 「い、いい!!甘えない!!」 「なんで?」 「愛想着かれるの…やだから」 着かないと言ってあげたかったけど…そんな自信もないから何も言わずにいるとまた結城が口を開いた。 「でも…また血吸わせて」 恥ずかしながらも言う結城は可愛かった。まあ、俺の身長を遥かに超えるこいつを可愛いなんておかしいけど…。 「いいよ」 「ほっ…ほんと!?」 「うん」 やっぱり…無邪気な結城の方が結城らしい…。 どうやら俺は…結城の魅力にとりつかれたようだ。 「じゃあひかる!!U🌑Oしに行こーっ!!皆待ってる!!」 「まだやってんのかよ…」 でも今は…コイツを悲しませたくないし…不安にもしたくないから…言うこと聞いてやろう。 「あっ!!ひかる殿~」 俺が部屋に入ると満が直ぐ様声を掛けてきた。そして俺をエスコートすると自分の座っていたところの隣に俺を座らせると満足気にカードを纏めている。 メンバーは知ってる奴のみ…結城と満と落ち込み気味の巫都だ。 「ひかる殿、🌑NOのルールはお知りですか?」 「ん、俺のやってたルールと一緒ならな」 もちろんUN🌑はメジャーなカードゲームなのでルールはわかる。 俺はU🌑Oが大好きだ。 「あーっ!!まけましたぁ…」 「満…弱い」 「カッ…カードの回りが悪いのです!!決して弱いわけでは…」 満は懸命に拒否してるけど…結局負けは負けだから仕方ないよね。 ついでに上から俺、巫都、結城、満でした。 時計をみるともう18:00になりそうだった…つまり夜食時だ。 「食堂に行きましょうか」 「そうだねぇっ」 満に続き結城が立ち上がった。そんな時俺は不意に咲真のことを思い出した。 俺がいない夜食時…咲真は1人で食べるんだろうか。 「…」 「ひかる殿?」 「ごめん…俺、咲真のとこ行ってくる!!」 あの淋しい食事を思い出すだけで息が詰まりそうだった、俺は食堂にいるだけで…きっと何回も咲真を思い出して箸を止めるだろう。 そんなの…嫌だからな。
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