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小走りに正也はカウンターへと向かう。
「荒川様。今回の天使型MMSですが、登録情報が抹消されています」
「どういうことだ?」
顔をしかめる正也に向かって、
「マスターはすでにいない、ということです。通常ならこんなことはありえないのですが……いかがしますか?」
受付嬢は言ったものの、その表情からは困った様子がありありと出ていた。
神姫のリセットや破棄の場合、コア.セットアップ・チップ(CSC)と呼ばれる神姫の心臓部分を取り除かなくてはならない。
その後、ボディとCSCの照会をセンターでしてもらい、その過程が完了するとのことだった。
よって、今回のようなケースは稀なのだ。
「このことをエオエルには?」
正也の質問に受付嬢は小さく首を横に振る。
「それじゃ、少し話し合う時間をくれませんか?」
正也の言葉が意外だったのだろう、受付嬢は目を見開いた。
「かまいませんが……よろしいのですか?」
「よろしいも何も、僕がそう言っているのだからそれでいいんだ」
やれやれと言いたげな態度で受付嬢は立ち上がる。
「わかりました。少々お待ちください」
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