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話を聞き終えた受付嬢は困惑していた。何しろ、相手はマスターではないのにマスターにしろと言ってきているのだ。
マスターの条件は、自分の神姫でCSCを組むことである。今回のケースには当てはまらない。知恵を絞った受付上から出てきた提案は、
「仮オーナー、というのはいかがでしょうか?」
と、いうものだった。
「仮オーナー?」
仮オーナーとは武装神姫に興味を持っている人に対してセンターが一定期間、無料でMMSを貸し出すことだ。
「ただし、いくつかの問題が生じます」
受付嬢は人差し指を立てる。
「一つ目は期間が七日間、ということ」
受付嬢はすぐに中指も立ててVサインをする。
「二つ目はそこの神姫がセンター管理のMMSになるということです」
顔をしかめた正也に受付嬢は詳しく説明を始めた。
「つまりですね、仮オーナーのMMSはセンター管理されていることが前提となっています。もし、仮オーナーとして登録なされる場合、そこのMMSがセンター管理のものにならないとお互いに組めない、というわけです」
「もし、エオエルをセンター管理にしなかった場合は?」
「その場合はお客様に私どもの管理しているMMSが手渡されることとなります」
いや、別に神姫で遊びたいわけではないのだが……。
そんなことを思う正也だった。
「あ、あのっ」
エオエルが声を上げる。
「センター管理されて、その後マスターが見つかった場合はどうなるのでしょうか?」
「その場合は何らかの承認が取れた後、そのままオーナー、つまりマスターの管理の下に戻ります。そして、オーナーが見つからなかった場合はそのままセンター管理のMMSとなるか、リサイクルのためにリセットするかのどちらかを選んでもらうことになります」
話を聞いたエオエルは、
「あのっ、」
正也に話しかけた。
「私の仮オーナーになっていただけませんか?」
もはや、正也に選択の余地がなかった。こうなったら、とことん付き合うしかない。
「すみませんが、その仮オーナーの手続きをお願いできますか?」
正也は受付嬢に言う。嬉しそうなエオエルの表情は彼の視界には入っていなかった。
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