その一 荒川正也の場合

17/150
前へ
/333ページ
次へ
食事を終え、適当な時間を見計らって正也はセンターへと赴く。 (これまでなら、外回りをしているはずなんだけどな) そんなことをふと思うが、もはや昨日までのことだ。 ある程度の蓄えと退職金があるにしろ、やはり無職には厳しいものがある。 そんな中でエオエルの持ち主を探すという考えられない状況に陥っているのだ。それも一週間という期限付きで。 ある意味では、短期決戦であるわけだから、先が見えているといえばそうである。 それでも、どのぐらいお金がかかるものか、かかる費用によっては相当な地獄を見ることになるのは誰でもわかる事なのだ。 そしてそんなことを考えれば考えるほど、正也の頭の中は暗澹としてくるのだった。
/333ページ

最初のコメントを投稿しよう!

240人が本棚に入れています
本棚に追加