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「ありがとうございます!」
センターのカウンターに近づいた正也はその声にのけぞった。カウンターにはエオエルが深々と頭を下げていた。
どういう表情をしたほうがいいのか、試行錯誤をしている受付嬢がどこか健気に見える。
「そんなにしなくても……」
周囲を確認しながら、正也はこめかみを掻く。周りの人は一応に正也を見ていたが、そのうちに思い思いの行動に戻っていった。
「すみませんが、説明をさせていただきます」
コホン、と咳払いをした受付嬢が口を開いた。
「まず、仮オーナーの期間は七日間、一週間です。期間をすぎた場合、神姫はそのまま機動不能になりますのでご注意ください。次にこちらで武装の貸し出しは行っていません。武装は知り合いから借りるか、購入をお願いします」
受付嬢は武装など商品が記されているパンフレットを正也に差し出した。パンフレットの武装はピンきりだが、やはり性能がよくなればそれなりの値段になっているようだった。
「最後に、仮オーナーはその契約をしたセンターでしか神姫対戦を行うことが出来ません。主だった説明は以上です。この際ですから、神姫対戦の方も体験なされてみますか?」
正也はエオエルの顔を見る。
「私はやりたいです。少しでも多くの情報を集めたいですから」
果たして対戦で情報が集まるのかどうか、正也ははなはだ疑問だったが、本人がやる気ならそれを阻害する必要はないと考える。
「えぇ。お願いします」
「わかりました。マッチング相手を探すので、お呼びになるまでおくつろぎください」
あの、と先に口を開いたのはエオエルだった。
「なんとお呼びすればいいのでしょうか?」
「なんとって、僕のこと?」
えぇ、とうなずくエオエル。正也はうーんと考え込んでしまう。
「マスターというのは明らかにおかしいから、正也でいいよ」
「そうはいきません! 仮とはいえオーナーはオーナーなのですから」
キっと睨むエオエル。
「じゃぁさ、正也さん、で手を打つことにしないか? 様付けもおかしいからさ」
エオエルは腕を組んで悩む。その人間らしさに正也は内心驚いていた。
「わかりました。そうしましょう、正也さん」
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