その一 荒川正也の場合

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正也は掃除をし終えてほっと一息をつく。 「朝は可燃だな」 そんなことをつぶやきながら、パンパンに膨れ上がった可燃ゴミ袋を見た。 もっとも、ここまで可燃ごみを放っておくこと事態、どうかしているのだろうが本人はあまり深く考えていない。 では、と正也は人形を手に取る。そしてあちこちを曲げてみたり、閉じたり、開いたりしてみた。 「うーん」 引っかかっている何かがなかなか出てこない。正也は人形を携帯電話の充電フォルダーに座らせてみた。 「さすがに人形遊びする歳じゃない」 人形ごときでなぜかニヒルになった自分に呆れながら正也は蒲団にもぐった。
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