金の腕輪

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『変幻自在の魔性の刃-ターンブレード・アクア-』 そのまま腕を振り下ろす。 「ていや!」 そしてさらに振り上げた。 僕の狙いは2振りで4当分に分けられる場所。つまり、腕の正面とその反対側。 水君の置き土産のお陰で、切れ味は今までの比じゃないはずだ。 腕を再び元の位置……頭上へと戻す。 大丈夫、手はブレなかったし集中も切れなかった。斬った手応えもあったし、何よりあの瞬間の僕は僕では無い様な感覚だった。 ―カランカラン― 金属の落ちる音。 ルドルソンさんの腕を見れば、袖が不自然に切れていて…… 「……ネクセ、凄いな。一瞬、達人と見間違えたぞ」 そこには金の腕輪なんて無かった訳で。 「……ふぅ。どうやら成功したみたいだな。素晴らしき集中力と剣の腕だ」 袖の切れた部分から覗く肌からは血が少し流れていたので、完璧な成功じゃあ無かったんだけどね。 さて…… 「次はレンリーさんです。早く。僕の心が張り詰めている間に行いたいので」 「分かった」 もう一度、手を頭上に持って行く…… ・ ・ ・ ・ ・ ・ ―カランカラン― 「凄~いネクセ君!」 し、しんどかった…… 神経が凄いすり減った気がする。 ただ…… 「これでもう……大丈夫ですね」 「おい、大丈夫かネクセ!?」 「はは……取り敢えず大丈夫」 安心して緊張の糸が切れたみたいで、腰が抜けちゃった。 急に地面に座り込んだ僕を心配してくれたアレンに、僕の微弱スマイルをプレゼントフォーヒム。 「ではルドルソンさん、シュウ先輩とアンジェの治療をお願いします。僕は……寝ます……」 ああ、最近よく意識が飛ぶ……な……
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