気付いていた気持ち

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「明日は私の結婚式かぁ」  アルミナはため息をついた。  港町の高台にある屋敷に住む富豪の一人娘であるアルミナは、親が勝手に決めた相手と明日結婚することになっていた。  しかし、アルミナにはずっと思いをよせる人がいた。親の古くからの友人で漁師をしているおじさんの息子、ミッツだ。ミッツも今は親子で漁師をしていて月に数回しか会えないが、昔はよく遊んでくれたし、今だって仲良くしてくれている。 「私は親に決められた相手よりミッツがよかったな」  だけどこの願いは絶対に叶わない。ミッツは四つも歳が上で彼女もいる。それにアルミナのことを妹のようにしか見ていないのは明らかだった。  コンコンッ!!  そんな物思いにふけっていると、部屋の中にドアをノックする音が響いた。 「アルミナ、入ってもいいかい?」  声の主はさっきまで考えていたミッツだった。 「・・・・・・開いてるわ、どうぞ」  ドアが開いて入ってきたのはやはりミッツだった。手には色とりどりの綺麗な花束を持っている。 「いつ戻ってきたの?まだ漁に出てると思ってたのに」  漁に出たのは三日前、いつもなら最低でも一週間は帰ってこないのだ。だからアルミナはそう聞いた。早く
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