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一章 夢の終わり。夢の始まり
(ここ…は…)
辺りは真っ暗で何も見えない。今自分は声を出したのか、それとも心の中で思ったのか。それすらもわからない暗闇の中で一人立っていた。
暗闇の中で僕はただ呆然とその暗闇を見ていた。すると、急に小さな光が遠くに見えた。僕は何もわからずに、ただひたすらその光に向かって走っていった。
その光は手のひらにすっぽり入るような小さな光だった。そしてそれに触れた瞬間、あたりは急に真っ白になり、そこに一人、白い服を着た大人の女性がたっていた。
綺麗な人だ。素直にそう思う。腕や首、頭には金属の装飾品、腰あたりまでの長い金髪の髪がさらに美しさを引き出していた。
(あれ?この人…誰だっけ?)
なぜだかわからないがそんな気がした。
彼女に近づくと彼女は手のひらに何かを持っていた。それを僕の目の前にだすと、それはひとりでに宙に浮いた。
(…石?)
その石は赤い光を放ち始めた。よく見ると真ん中に何かあるようだがよく見えない。
「あなたは……選ばれました」
一言、彼女は声を出した。
(選ばれた?僕が?何に?)
そう思うが、何故かそれは選ばれて当然だと思う自分がいた。
(それに僕はこの人を知っている。この人は――)
その時。目の前で浮かんでいた石が僕の胸の中心にゆっくりと入ってきた。僕はただその光景をじっとみているだけだった。まるで第三者から見ているように……何も抵抗せず……それを前から知っていたことのように……僕はそれを受け入れていた。そして彼女は笑みを浮かべ消えていった。
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