零 何でもなかったといって手を振る

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「浅海!補習くらいちゃんと起きてろ!!日本史で成績足らないのお前くらいだぞ!お前はやれば出来るんだから・・・・・・」 恵瑠の担任であり社会科教師である井上雄三は白いチョークで黒板をコンコンと叩いた。教室には恵瑠と他数人の生徒がノートを広げて補習に参加している。各々が皆憂鬱そうな表情ではあるが、これほど態度に表れているのは恵瑠くらいだろう。 「あつぅ・・先生ー。クーラーつけようよ・・今、八月・・」 「温暖化対策だ」 恵瑠は机に突っ伏して不満たらたらに唇を突き出した。井上も俺だって暑いんだ、と言うように腕まくりをして教科書で顔を仰いだ。誰もが暑さでダウンしかけているとき恵瑠の隣で目をキラキラと輝かせている少年がいた。太陽の光で金髪が反射して少し眩しい。 /
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